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角田美穂子教授(社会科学高等研究院)、サイモン・ディーキン教授(HIAS客員研究員、ケンブリッジ大学)、フェリックス・シュテフェック教授(ケンブリッジ大学)共編著の『AI時代の司法を考える』が刊行されました

角田美穂子教授(社会科学高等研究院)、サイモン・ディーキン教授(HIAS客員研究員、ケンブリッジ大学)、フェリックス・シュテフェック教授(ケンブリッジ大学)共編著の『AI時代の司法を考える』が刊行されました

2026/01/28

 本書は「法制度と人工知能」プロジェクトのフィナーレイベント(https://legalinnovation.hias.hit-u.ac.jp/)を書籍化したものです。このイベントはまず、一橋大学とケンブリッジ大学で遂行されてきたリーガルイノベーション研究の成果が初めて発表された歴史的なものであったと言えましょう。
 本書は、3部構成で、AI技術のイノベーションと「司法」はどのように交わることができるか、また、交わった先にどのような未来がみえてくるかについて検討しています。
 まず、第1部は「テクノロジーが変える社会と法」を考えます。テクノロジーが経済活動や社会生活を大きく変えていることは、今や誰もが痛感しています。しかし、それが「法」や「司法」とどう関わるのか。驚くべきことに、この両者の関係が掘り下げて議論されたことは、これまでほとんどなかったのではないでしょうか。まずは、いま「法」や「司法」について考えることがなぜ重要なのか、我々と問題意識を共有してもらうことを狙いました。
 第3部「紛争解決の未来:テクノロジーがもたらす可能性と課題」では、AI時代の『司法』を具体的に検討しています。そこでは、AI技術のイノベーションと「司法」が交わった先に、どのような未来がみえてくるのかも考察しています。恐らく、ここが多くの読者の関心に、直接応える内容になっていると思われます。
 なかでも、英イングランド・ウェールズの司法のデジタルトランスフォーメーションを牽引しておられる、記録長官にして民事司法長官のジェフリー・ヴォス卿が自らの言葉で語った未来ビジョンは、必読です(第3部第3章収録)。
 それに先立つ第2部では、「司法」という精緻な言語ゲームに対して、いまある先端的AIテクノロジーは「どこまで」社会的に有益な視点を提供できるのかを問う、AI実験の成果が語られています。これらは、いずれも司法AI研究の世界においてもエポックメイキングなものでした。
 本書の内容は、タイトルに掲げた『AI時代の司法を考える』ために必要かつ十分なテーマを取り扱えている訳ではありません。また、司法に導入されようとしているテクノロジーがどれだけAI研究界隈で高い信頼性スコアを獲得したとしても、それは、社会における『AI時代の司法はどうあるべきか』の議論にひとつの材料を提供するものでしかありません。この問題の複雑さこそ、私たちが挑んだ問いでもあります。
 本書が、世界最先端の司法AI研究を、民事裁判IT化の完全施行(2026年5月)を控える日本社会と共有することで、AI時代の司法をめぐる議論を深める一助になれば、望外の喜びです。                        

 
 第1部第4章では、未来社会の「法」や「司法」を論じるため、フォーサイトという新しい社会科学を導入しています。Horizon Scanning手法という、「未来に発生する、そもそも予測しにくい要素について、可能なかぎりの情報を集め、それを構造化して理解することで、未来の変化に対する『備え』『構え』を作る方法論」です。日本チームと英国チームは、この手法で生成された未来シナリオをストーリー仕立てにしてアニメーションを制作しました。その絵コンテは口絵に収録されていますが、そのアニメーションをここに公開いたします。

2030年、雇用や労働に関する争いごとと、
人工知能の未来
「司法とAI」(2020-2023)














詳細はこちら 弘文堂











※本書刊行にあたっては、公益財団法人 電気通信普及財団の令和7年度学術研究出版助成の支援を受けました。記して感謝申し上げます。