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概要

革新的デジタル技術が私たちの生活、社会を大きく変えています。Society5.0に相応しい司法を探究してきた私たちは、次のトピックスとして、仕事や働き方の変化に伴って起こる紛争にフォーカスし、紛争解決をスムーズに実現できる社会を目指します。

これから雇用市場で起こる変化により、法的定義にいう「労働者」や、幅広く「業務」に従事する人(より広範な言葉として「働く人」という)に、より多様で複雑化した分断を生じさせていくことが考えられます。このような分断が進む社会において、脆弱な地位を余儀なくされながら「働く人」たちに法的保護を保障するのが労働法です。労働法は「働く人」たちへのセーフティネットとして「つながる」こと、すなわち団結して労働組合を組織し、交渉する権利を保障しています。しかし、この労働法に期待される役割と機能が、現実に、十分に発揮されているとは言い難いのではないでしょうか。

本プロジェクトは、分断されトラストを失った「働く人」たちをつなぎ、労使紛争の当事者をつなぐ、新しい紛争解決システムへのアクセスを働く人すべてに保障し、失われたトラストの回復を実現できる社会を目指します。

具体的には、❶分断されている「働く人」に「つながる」ツールを提供し、集団的な交渉力を獲得している英国の技術系スタートアップ企業をモデルに据えて調査を実施し、そのメカニズムを社会科学的、技術的に詳らかにし、❷日本で実現すべきトラスト回復機能を同定します。❸日英で「働く人・労働法・AI技術の未来」をテーマとする未来洞察ワークショップを開催し、日英社会におけるトラスト理解の相違点を明らかにします。これらを踏まえ、❹労使紛争に適した紛争解決システムの社会的制度の設計と要素技術の開発をおこない、❺日本における労使紛争解決機関、労働法制のシンクタンク等の協力を得ながら紛争解決システムの概念実証を実施し、その効能、当事者のトラスト回復評価を調査するとともに、❻紛争解決へのAI導入ガイドを策定します。